渡部哲也氏「ずっとここで働きたいといわれる会社を目指して」六丁目農園 アップルファーム

アップルファーム 渡部哲也

ずっとここで働きたいといわれる会社を目指して

株式会社アップルファーム 代表取締役 渡部哲也氏

人口減少時代を迎え、働き手の確保が難しくなっているという。本当だろうか?海外から移民を受け入れなくとも、近くにいて日本語も話せる、なのに目が行かないのが、障害者、高齢者、被災者、受刑者などの一般的には社会的弱者と言われる人々だ。障害者だから、高齢者だからと過保護にされるより、彼らは社会の役に立ちたいと望んでいる。働いて人の役に立ち感謝され自立する。そんな当たり前のことを今までの常識では考えられない方法で組み合わせると、社会のいくつかの課題が解決できるかもしれない。そんな可能性を見せてくれるのが、野菜ビュッフェレストラン「六丁目農園」、90年後を見据えた6次化産業モデル「ロク・ファーム・アララタ」を経営する渡部哲也氏(株式会社アップルファーム(六丁目農園) 代表取締役)だ。 <編集部より>

 株式会社シーエフエス 特別講演にて。

全国から相談依頼

渡部哲也氏「ずっとここで働きたいといわれる会社を目指して」アップルファーム 被災地から日本を変えよう、世界を変えようという仲間が集まっています。私どもの野菜ビュッフェレストラン「六丁目農園」が2年前にテレビに取り上げられました。障害者の雇用から注目されたのですが、受刑者が出所した後の雇用先がなくて再犯に及んでしまうとか、農業生産者がいくら作っても売れないとか、行政が抱える遊休地が活用されていないとか、過疎化した街に産業がないとか、さまざまな角度から私のところにご相談が来ています。私たちが少しでも社会のお役に立てるならと全国へ伺っていますが、その原点になるのがこのレストランです。
会社としてはレストラン、農園などを総勢190人のスタッフでやっておりますが、このうち90人が障害を持っております。障害者の分類は身体・知的・精神の3つです。この分類も知らない方が多いです。日本の障害者人口は742万人、全人口比で6%くらいですから決して少数ではありません。

障害者雇用に行き着く

渡部哲也氏「ずっとここで働きたいといわれる会社を目指して」アップルファーム 私は現在46歳で、こういう仕事を始めたのは5年前です。41歳までは本当にエゴの塊で、何をやっていたかというと、人より自分が幸せになる、自分のために何でもやる、従業員は駒だと思っていたフシさえありました。
生い立ちは、裕福な家庭でボンボン育ちでした。4人兄弟の末っ子でしたからさらに始末が悪かったです。わがままし放題でした。ところが私が高校3年生の時、多角経営をしていた父親が会社を潰しまして、母親のへそくりのおかげで学校は卒業できましたが、取引先、従業員、ステークホルダーと言われる方々との関係、何より一番大切な家族関係が犠牲になりました。このとき「企業は永続しなければならない」と感じました。一度潰れてしまうと日本ではなかなか復活が難しいです。苦しいけれども自分も始めた以上は何があっても継続させなければいけないと思っています。
海外留学に逃げて、遊んでいても途方に暮れていました。戻ってきてからリベンジだ、金持ちにならなきゃ、渡部家の復興だといろいろな仕事をしました。保険や教材の営業、バッタ商品の販売、競輪選手になろうと思ったこともありました。勤めたり自分でやったりで波のある日々でした。そんなとき義理の弟が交通事故に遭いまして、一命は取り留めたものの重度障害者になりました。78歳の両親が実家で介護しています。
大なり小なり障害を持った子を持つ親にしてみれば、子どもが自立していない状態で先立つというのは子どもが不憫でしょうし、人として生まれてきたのですから、何か人様のお役に立って自立して欲しいと考えるのが親心です。仕事ができて収入が得られるようにするのが親の役割であるのですが、障害というハンデがあるとなかなか難しい。その頃さまざまなきっかけがあって、この仕事をすることになりました。そのきっかけとは二宮金次郎のたらいの話でした。ある経営者から「お前はいつもたらいの水であれば自分の方へ持ってこようとするだろ、そうすると水はぶつかって流れていくんだよ。でもうまく言ってる人や幸せな人、必要とされてる人たちは、押し合っているんだよ。それがぶつかって回り回って自分のところに来る。それが利益だったり、やりがいだったりという自分へのご褒美なんだよ」と教えて頂きました。35歳くらいの当時、人並みの仕事はしていましたが、どうやったら稼げる?どうしたら儲かる?ばかり考えて、隣の芝生が青く見えてすぐ鞍替えしたり。「こんなでいいのかな」と何か自分の中に燃え切れないものがありました。そこへその話を聞いたので、「自分にとってのたらいの水は何だろう?」と初めて立ち止まって深く自問自答をしたような気がしました。そして障害者雇用をやってみようと思いました。

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