大久保秀夫氏 これからの企業の在り方(あり方)~新しい資本主義を目指して~

公益資本主義協議会 PICC 大久保秀夫 三方よし

これからの企業の在り方(あり方)~新しい資本主義を目指して~

一般社団法人公益資本主義推進協議会
代表理事 会長 大久保秀夫

「企業の利益最優先主義が世の中の全ての問題を引き起こしている」と大久保秀夫氏(一般社団法人公益資本主義推進協議会代表理事 会長)は断ずる。ヒトは欲深いが、本当に欲しいものがカネなどではないことは、余命何ヶ月と宣言されればわかるはずだ。日本には「足るを知る」「三方良し」「浮利を追わず」「額に汗流して働け」という教えが昔からあり、その有効性は創業100年を超える会社が2万6千社あって世界一であることが証明している。「日本発の「公益資本主義」を率先垂範し、世界の問題解決のリーダーシップをとれ!」と大久保氏は全ての経営者に檄を飛ばす。 <編集部より>

 株式会社シーエフエス 特別講演にて。

「儲かることが第一義」は間違っている

大久保秀夫現在の企業の在り方は、儲かることが第一義。これは皆さんも思ってらっしゃるかと思います。競
合が多い・少ない、法律に触れるか否か、そんな優先順位で事業を営んでいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし私はこれは完全に間違っていると思っていますし、これが世の中の全ての問題を引き起こしている原因だとさえ思っています。

もし皆さんが、本当に会社は儲けるためのものだとするならば、社員とは何でしょうか?お金儲けの手段ですよね。儲けるために社員を採用することになります。だったら、儲からなければ社員をクビにするし、儲からない商品は品質を劣化させてでも儲けようとするでしょう。

ブラック企業と言われる会社は、儲けるためなら、社員を自殺に追い込んでもいい、正社員はクビにできないから非正規雇用でいい、とまるで人を道具のように扱う。こんなことが横行しているんです。社員が自殺するような企業には誰も行きたくないから、人が集まらなくなって、どんどんお店を閉店せざるを得ない。その結果赤字になる。

儲けるのが目的なら何でもありなんでしょうか?目的を一番の儲けることにすると、社員も道具、商品も道具、サービスも道具になってしまいます。まず最初にこれを皆さんに申し上げたい。

祖母の教え

大久保秀夫私は昭和29年生まれです。子供の頃祖母によく言われました「仕事とは人様に喜んでもらうか、お役に立つことなんだよ。お金儲けじゃないんだ」とね。小さな子どもには理解できませんでしたが、今も記憶に残っています。

聖徳太子は「和を以て貴しとなす」と言いましたが、皆さんの会社の社員が病気をしたり、怪我をしたら、「ゆっくり治しておいで、その間みんなでカバーするから」と言うでしょう。まるで家族のように扱う。そういう考え方がかつてはあった。「自分さえ良ければいい」とか「効率!効率!効率!」ではなく、日本には「足るを知る」「三方良し」「浮利を追わず」「額に汗流して働け」という教えがあったように思います。

アメリカの資本主義、中国の資本主義、日本の資本主義

大久保秀夫敗戦後アメリカの管理下で、軍国主義に代わって入ってきたのが資本主義です。すなわち儲かるか儲からないかというモノサシが入ったわけです。「儲からないは悪だ、儲けるためなら何をやってもいい、儲からないのに社員をクビにして何が悪い」と。その最たるものがリーマン・ショックに代表されるマネーゲームです。こんなの金融詐欺じゃないですか。わかっていてやっている。こんなことを許してはいけないと思いませんか。

アメリカ型資本主義を全否定するわけではないです。アメリカは素晴らしい国です。しかし唯一、会社は株主のものだというのは行き過ぎていると思います。株主のわかりやすい数字でしか企業の価値を測らない。経営者は投資の結果がすぐに表れないと、企業の価値を毀損したと言って株主に訴えられてしまいます。だからお金が投資に回らず投機に回る。利益が出たら出たで、配当に回せと言われて持って行かれてしまう。蓄えがないので、赤字になったらリストラするしかないじゃないですか。

日本は違う。内部留保があるから一年くらい赤字になっても社員を切らずにすむ。経営者の給料の差は大きいところ日本は一般社員の40倍。アメリカは200倍、300倍です。600倍なんてところもある。こんなのおかしいと私は思うわけです。

でもそんな経営を日本は取り入れようとしてるんです。必ず社外取締役を置いて、株主の利益を見張れと。それが現状です。

視点を変えて、中国ではどうか。国家主導で国を挙げて金を稼ごうとしています。バブル、PM2.5を含めた環境問題、食品衛生問題、格差・民族問題、ここまではやっていいからとにかく金を稼ごうと。中国は立派ないい国なのにこれはいかがなものでしょうか。

行き過ぎた資本主義、国家主導の資本主義、いずれも仕方ないなと思ってはいけないと思っているわけです。本来会社というのは社会の公器です。安定して利益を生み出し、安定して配当できることが大事です。社員を大事にする会社、取引先を大事にする会社、地域を大事にする会社こそが、社員が一所懸命働いてくれる会社であり、取引先からも信頼を得て、より良い条件で取引してもらえる会社であり、地域が大事にしてくれる会社です。その結果、株主に最も大きなリターンを返せると考えます。アメリカ人にはなかなか理解してもらえませんが、絶対に正しいと思っています。こういった会社に投資して、アングロサクソンにもわかるように数字で結果を出していかなければなりません。いろいろなところで壮大な実験が行われ、結果も出始めています。

会社とは

利益はお客様を作るための経費 大久保秀夫会社というのは、その事業を通じて、どう社会性を持つかということ、そして人がやっていなくても価値あることはどう勇気を持ってやるか、どう事業採算を追求して続けられるようにするか。でもまずは社会性だと思うんです。

若者のために夕方開店して、洗濯物の回収に訪問するクリーニング屋さん、お年寄りのために電池一本を赤字でも届ける電気屋さん、そういうところが儲かっている。これが社会性です。このように商売というのはお客さんと向き合って、経営者がどうやって社会貢献するかということを考えることです。

儲かるからじゃない、自分の仕事に誇りを持って社会の役に立つ。社会貢献できれば喜んで独立する。そういう会社が経済性を維持・継続できる時代にしなければなりません。ここに公益資本主義の原点があります。

 

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