秋山和宏氏【チーム医療フォーラム】チーム医療推進を通して日本の医療を元気に

秋山和宏氏 在り方大学

チーム医療推進を通して日本の医療を元気に

昨今注目されている新しい医療システム「チーム医療」。一人の患者に対し、医師や看護師のほかに薬剤師、栄養士など複数の職種にまたがる医療専門職が連携して、チームで治療やケアに当たることである。もちろん、患者本人や家族もチームの一員だ。
チーム医療を起点に、これからの医療を担うリーダーとなる人材の育成に取り組むこと、医療を通して社会をよくする社会医療人を輩出することで、社会に貢献したいとの志を持ち活動する今回のゲスト、秋山和宏氏に話を聞く。<編集部より>

秋山和宏氏 一般社団法人 チーム医療フォーラム 代表理事

職種を超えて患者に向き合う「チーム医療」との出会い

秋山和宏氏株式会社 シーエフエス 代表取締役 藤岡俊雄(以下、藤岡): 現在の活動を始められた経緯を教えてください。

一般社団法人 チーム医療フォーラム 代表理事 秋山和宏(以下、秋山): 自分のやれることで世の中に貢献することを考え、現在の活動につながっています。

藤岡: 医療の世界をめざされたのは、ご実家が病院関係だったからでしょうか?

秋山: 親戚が医療関係ですが、私は医学部に行くつもりは当初ありませんでした。どちらかといえば、新しい科学技術を発表して、世の中に貢献したいと思っていました。しかし、高校生になると自分の才能がないことに気付き、現実的になって医学部に入学したのです。

最初は外科で、スーパー外科医をめざしていましたが、そのうち幼い考えだと気付きました。
私は、東京女子医科大学という優秀な方がたくさんおられるところに行きましたが、どういう訳か、外科の道にはあまり登用されず、小さな病院に行きました。その後いろいろなご縁があり、今に行き着いています。

小さな病院でしたので、手術数が年々減少する中、「チーム医療」という考え方に出会いました。
医師や看護師など、職種を超えて患者さんに向き合うことが増え、栄養のチームなど、日々のワークを離れてチームが形成されていきました。
週1回チームで話し合う機会を持つなど、そのような現場に出会った時に、活動の根元を見出しました。そこで、チーム医療を推進するための団体を13年ほど前に始めたのです。

「参加する医療」宣言

秋山: それからは、「チーム医療人フォーラム」と名付け、講演会などをしていましたが、人をたくさん集めても各病院から1人2人来るだけで、病院に帰っても、それを実行しません。これでは、あまり意味がないと感じました。
私は地元でそのような活動をしていたのですが、例えば国際学会で出てきたものが日本では1年遅れで出てきます。その学会には5,000人ほど集まるのですが、医療の世界には二次医療圏というのがあり、全国で300ぐらいに分けられます。言わば商業圏のようなものです。
そのユニット10人ちょっとが、一つのエリアから来ます。その人たちはその分野のエリートです。その人たちは代表して学会に行き、そこで学んだ内容を広めるべきだと私は思っていて、そう言った勉強会の支援活動をしていました。

しかしある時、地元の公立病院の先生がクレームを付けてきました。その会の案内のビラをMR(製薬企業の営業部門に所属する医薬情報担当者)さんに配ってもらっていたのですが、その先生は製薬メーカーがその活動をしていると、勘違いしたんだと思います。
しかし実際、私が活動をすべて実行していましたので、急いで活動の趣旨を伝えました。このような現状から、勉強会をサポートする法人を作ろうと思いました。それがチーム医療フォーラムの始まりです。
助成金をいただき、WEBサイトを立ち上げ、検索エンジンに引っかかるようにしました。今はストップしているのですが、近いうちに再開させるつもりです。

私がチーム医療に出会った時、多職種で連携し、シナジー効果で良い結果を出すというもので、実際に成果は上がりました。そのチーム医療はいろいろな人が集まるだけでなく、患者も参加します。
日本の医療の満足度は低いです。どうしても受け身の医療になりがちですので、私たちは患者さんが参加するチーム医療をめざしています、チーム医療は患者さんも含みます。
そういう医療が成り立つ社会は命を大切にする社会だと思うので、参加する医療とは何か?ということを問う、識者の方への取材などをして、知的なものを深めます。情的なものは、ネットプレゼンというTED(世界の優れた研究者のスピーチを聴けるアプリケーション)のメディカル版をしていて、共鳴できる場としています。
これに登壇した人が、地元でもやっています。これには一般市民も入れます。

「超高齢者社会」に対する社会貢献を

秋山和宏氏秋山: 私たちの活動は社会とつながっています。
例えば、「WAVES Café」(http://www.wavescafe.pw)という取り組みがあります。日本の高齢者は、病気しやすい身体になっているので、それを啓発・改善する活動を進めています。

「WAVES」は、健康人の栄養状態の維持・向上と、高齢者の地域医療福祉の基盤確立のための市民教育プログラムです。次の時代の豊かな高齢社会の実現をめざして、栄養に関わるすべての医療人が、栄養ケアの大切さを伝える伝道師、教育者の役割を、社会に対して担っていこうというものです。
これは、「超高齢者社会」に対する社会貢献事業です。筋肉が減らないような栄養管理をします。
健康寿命(健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間)と生命寿命のギャップが伸びているので、医学が進んだせいもあるのですが、そのギャップは加齢に伴う筋肉量の減少が問題です。
筋肉量の少ない人は合併症が多いです。骨格筋が減ると、飲み込みもダメになります。筋肉が減らないようにしていくことが大事です。
そのためには、運動だけしていてもダメなのです。栄養状態が悪い状態で運動しても、筋肉は減ります。エネルギーがないので、筋肉を燃やすのです。つまり、運動と栄養、両方が必要です。認知症も筋肉が関わっているのも分かってきています。

これを防ぐためには「速く歩ける身体」を作り、筋肉が落ちないように歩くのが重要です。
私たちは、医学の観点を取り入れた「メディカルウォーキング」を提唱しています。
駅前で月一回、ウォーキングの教室を開いています。インターバルトレーニング(高負荷と低負荷を交互に繰り返して行うトレーニング方法)が有効とされていて、ゆっくりと速く歩くのを繰り返し、栄養剤を採ってもらうことをやっています。
毎回同じコースをタイムトライアルしてみると、ほとんど変わらないです。
タイムトライアルという期間を設けることにより、皆さん日々のモチベーションにしてもらっています。

また、高齢者のサルコペニア(筋肉量の減少症)対策を東京の巣鴨でやっています。トートバッグに栄養剤のサンプルを入れ、無料で配布しています。
栄養ケアの大切さを啓発することが趣旨ですので、クラウドファウンディング(不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うこと)で集めました。ビジネススクールのつてをたどり、協力を得ました。

藤岡: このクラウドファウンディングに参加した方には、どういった益があるのですか?

秋山: バッグを5,000円で買ってもらいます。全国に広げるためのマニュアルを作り、終わった後は反省会をしました。
最終的には、教育のシステムを作り、コンビニなどで健康状態をチェックし、自腹で必要なものを買い、「参加する医療」を作りたいと思いました。

これはサプリメントではなく、栄養剤です。筋肉が衰えないようにするための栄養剤です。
70歳を超えてからは、脳卒中より、サルコペニアのほうが危険性が高いと言われています。
ここからは素人のような憶測ですが、動物の肉は元々は肉なので、筋肉になりやすいのではないのかと思ったりします。

全国的な組織を作っていくのですが、学会だけでなく、世の中にこのような仕組みを作っていくことが目的です。
私が思うに、銀行というマネタリー経済の中で、預金すれば利息が入るというシステムがありますが、WAVESでやっていることも同様の動きができるのではないかと。
高齢者がWAVESを通して言われた通りにして、健康を実感し、普及していけば、プラスアルファに上乗せされて、それがまた連鎖して広がるでしょう。
栄養はすべてのことに関わることなので、これがうまく行けば、日本社会で良いインパクトを与えられるのではないかと思いました。

WAVESを提言している「日本静脈経腸栄養学会」は大きな組織であり、栄養系の学会では最大規模を誇ります。
「日本静脈経腸栄養学会」の東口高志理事長は日本でNST(栄養サポートチーム)を普及させて、学会を大きくしています。
昔は病院の中での栄養管理でしたが、今は社会の中での栄養管理です。健康な人がより健康になるための栄養学です。
今は栄養学が非常に重要で、各病院に栄養チームは配置されています。
健常者と病人両方の治験をもってしても、解決できないのが高齢者の低栄養問題です。
筋肉が減ると代謝が減り、免疫が下がり、各臓器の働きも悪くなります、結局は低栄養に行き着きます。
しかし、この「日本静脈経腸栄養学会」は小回りが利かないので、私が法人で活動しています。最初にコンセプトを聞き、半年後私がイベントを企画しました。

病院で患者さんと話をするのと、街の中で健康な人と話をするのでは、やはり違います。
私たちの医療の知識が、役立つ実感があります。
医療者以外の方のプレゼンもあります。私がプレゼンターを選びますが、去年は日本環境設計株式会社の代表取締役会長 岩元 美智彦氏に出ていただきました。岩元さんとは懇親会で出会い、そこでお話をして出ていただくことになりました。

「社会起業家版の医療者」としての志

秋山和宏氏藤岡: 秋山先生がされている、任意団体のお名前は?
秋山: 「チーム医療フォーラム」です。これは私が代表です。大赤字ですが(笑)。

藤岡: この団体では、寄付や会費を集めているのですか?

秋山: サポーターという形で募集して、WEBサイト(http://teamforum.or.jp/supporter/)から寄付してもらっています。
サポーターの方々には、各イベント参加の優遇と季刊誌購読のメリットなどがあります。このようなものには、時間とお金がかかります。

藤岡: 先生が講演で回れば、寄付はどんどん集まりますよ。

秋山: 雑誌は夜な夜な作っています。娘の同級生のお父さんが無償ボランティアで作ってくれていま

藤岡: 個人の類いまれな能力ですね。

秋山: 私自身は何もできません、しかし出会いがあり、周囲の方が非常に素晴らしいのです。その方々のお陰で広がっています。

私たちは病院での中だけでなく、社会の中での医療を考え直さないといけません。
科学は自分たちの中だけでやっていると、罠に陥ります。医療者が外に出ていくことが必要だろうということです。
単に医療者というだけでなく、社会起業家版の医療者ということでやっています。
最終的は、参加する人全てが医療人です。これからは、自分で体を管理していくべきだと思います。

このようなビジネスモデルを出しても、お金を回収するところまで気力が持たないですね(笑)。
それだったら次の新しいことを思い付き、そちらに行ってしまいます。

藤岡: この活動が全国に広がれば、いろいろな支援者が現れると思います。

秋山: この活動をしていくと、サポーターも増えていきます。
小さい病院で志を持ってやっている人も励ませるように、雑誌を送っています。
プロカメラマンさんを使うなど、クオリティを落とさないようにしています。ですから、費用もかかりますね。

藤岡: 動画を編集して、YouTubeに掲載する手法は使われないのですか?

秋山: YouTubeはWebサイト(http://medpresen.com/)とリンクしています。

藤岡: 今までどの位の会場でされましたか?

秋山: 300人くらいですね。会場はTED東京の場所でしたので、すごくいい会場でした。

藤岡: 私たちは社会起業家と経営者を共同させるミーティングを開催しているので、先生の日程が取れる時に一度来ていただければ、きっといろいろなアイデアが出てくると思いますよ。

秋山: 苦労してきた甲斐がありました(笑)。

藤岡: 「チーム医療」について、これから私たちも勉強させてください。

秋山: ぜひ、よろしくお願いします。
秋山和宏氏(左)

プロフィール 秋山和宏氏

秋山和宏氏一般社団法人チーム医療フォーラム代表理事 http://teamforum.or.jp/
東葛クリニック病院 副院長
1990年、防衛医科大学校卒業。東京女子医大消化器病センター、至誠会第二病院を経て、1999年より東葛クリニック病院勤務。2010年より、副院長就任。
「参加する医療で社会をよくする」ことをめざし、一般社団法人チーム医療フォーラムを設立。ヘルスウオーキング指導士、医学博士、経営学修士(MBA)、日本消化器外科専門医、日本外科学会専門医、日本静脈経腸栄養学会評議員、日本褥瘡学会評議員。

インタビュアー 藤岡俊雄氏

藤岡俊雄氏株式会社シーエフエス 代表取締役
1961年大阪府生まれ。2002年より、株式会社シーエフエス 代表取締役。
2010年より「大久保秀夫塾」代表世話人に就任し、全国経営者320社に、東北・関東・中部・関西・中四国・九州で塾の開催を続けている。
2012年に「経営実践研究会」を創設し、理事長就任。

 

 

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