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教育を全ての始まりに 公益財団法人CIESF理事・日本事務局長 戸田 陽子氏

教育を全ての始まりに
公益財団法人CIESF理事・日本事務局長・創設メンバー 戸田陽子氏
「多額の寄付や人的支援をしているのに顔が見えない」と公益財団法人CIESF(Cambodia International Education Support Foundation)の創設メンバーであり、同法人の理事・日本事務局長である戸田陽子氏は嘆く。日本の発展途上国への経済的支援や人的貢献を、他国はおろか日本人さえも知らないのが現実だ。カンボジアを途上国発展支援のモデルと位置づけ、日本が世界に貢献できることは何かを行動しながら模索する。「日本の教育で世界を、日本を変えていく」と意気込む戸田氏の決意は固い。<編集部より>
教育レベルを上げるには
シーセフの成り立ちですけれども、2008年にシーセフ創設者の大久保(秀夫理事長)がカンボジアという国の支援をスタートしました。まず私たちが支援しようとしたのは教育レベルの低さをどうやったら上げられるかということでした。教育に対する政府の取り組みが不十分なところをサポートしていこうということです。教師の数と質が不足していて、学生の5%くらいしか大学へ行っていないため、高度人材育成が進んでいません。私たちとしてはベーシックな部分で、小学校、中学校、高校に子どもたちみんなが通えるような教育体制づくりが必要だと考えています。
学生の支援、役人の支援、経営者の支援
教科書、指導マニュアルの不足、学校・教室数の不足、職員の低賃金、といった問題があり、このあたりは私たちが直接関与できるものではありませんので、「教育政策大学院」で支援をしているところです。2012年10月に開校し、現在3期めの大学院では、毎年20人ずつのお役人さんの再教育ということで、行政の問題を彼ら自ら改善していくことを目指しています。
「国境なき教師団」は、当初プノンペンとプレイベンからスタートしましたが、プレイベンからクルマで2時間のベトナム寄りのスバイリエンというところにも学校を作って、先生を派遣しています。現在7人、これまでのべ22人の先生方を派遣しています。
2011年からは日本語やビジネスマナーを無料で教える「シーセフ・ビジネス・トレーニング・センター」を運営しています。午前・午後・夜間のコースがあり、合わせて360人の学生が学んでいます。
新しい事業としてベトナムでも職業訓練校の支援を始めました。「日系企業向けの人材を育てたい」というベトナムからの要請に応えて、日本語教育や金型の専門家などを送り込んでいます。
また起業家の育成として、2010年から「ビジネス・プラン・コンテスト」をカンボジアとミャンマーで開催しています。ASEAN6カ国で行われるマッキンゼー&カンパニーなど主催の「マッキンゼー メコン ビジネスプラン チャレンジ」というベトナム、タイ、ラオスからもエントリーのあるビジネスプランコンテストがあるのですが、今年度のカンボジアのコンテスト優勝者がこちらでも優勝しました。アメリカ本国のビジネスプランコンテストにも参加させていただけることになっています。
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