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制約のない国で新しい教育の在り方を模索 篠原 勝弘氏 CIESF副理事長・カンボジアオフィス代表
- 2015/7/15
- 発展途上国支援へ社会貢献
- あり方, カンボジア, ソーシャルビジネス, 公益財団法人CIESF, 在り方, 社会貢献, 社会起業家, 篠原 勝弘

制約のない国で新しい教育の在り方を模索
元カンボジア特命全権大使 公益財団法人CIESF副理事長・カンボジアオフィス代表 篠原 勝弘氏
途上国の支援が先進国を変える。そんな逆転現象が教育の世界でも起きようとしている。日本の教育の在り方に疑問を持ち、改革すべきだという人は少なからずいるが、制約が多いためになかなか進まない。そもそも教育のシステムがない途上国に新たな教育システムを作れば、それが先進国のモデルにもなり得る、というのが公益財団法人CIESF(シーセフ)の考え方だ。元カンボジア特命全権大使でシーセフの副理事長・カンボジアオフィス代表の篠原勝弘氏が事業の意義や日本との関係性を語る<編集部より>
インテリの7割が虐殺
2008年に私がカンボジア大使をしていた時に、大久保(秀夫=一般社団法人公益資本主義推進協議会会長)会長がいらしてシーセフというものを作られるとおっしゃいました。カンボジアではおそらくインテリの7割が虐殺されてしまって、その状況では先生が足りないわけです。教育の質を高めるためには総合的に包括的に人材の育成を図らなければなりません。
教育が行政改革の目玉に
今シーセフがやっている事業は初等教育から高等教育まで、全部包括的にやっています。本来国がやるべきことができないんです。私たちは教育省との間で緊密な連携をとってやっています。教育大臣も新しく改革派の方になりました。フン・セン政権も前回の選挙でかなり野党に食われて、改革をしなければならないということになりまして、行政改革の目玉が教育なんです。 いろいろな国際協力団体が教育支援をしていますが、私たちの活動はせいぜい5年です。シーセフの教育アドバイザーは教員養成学校への支援ですが、この実績を教育省がとても評価しています。昨年のセミナーでは教育省の代表が「ぜひシーセフのやり方を参考にしていただきたい」とおっしゃっていただきました。先生方の自発的に教育の方法を高めていくチームティーチングという手法をとっています。先生方の中には促成の先生もいらっしゃって、教え方が十分ではない。そこで日本の先生方が教え方を教える。それを見てカンボジアの先生がやってみると見違えるように改善されます。 大久保会長の授業は、ビジネスパーソンとして成功した人がやっているので、他のNGO,NPOと異なりビジネスの経験が織り込まれているんですね。マッキンゼー&カンパニーなどが主催するメコン川流域諸国の学生代表を対象にしたビジネスプランコンテストで、今まで入賞したことのなかったカンボジアの2チームが優勝と4位と健闘しました。たった5年間のシーセフの活動がこれだけの成果を出したということで、教育大臣が閣議で報告したそうです。シーセフのことにどれだけ触れたかはわかりませんが、我々の活動によってカンボジアの人々が自信を持てるような結果を出せたわけです。 カンボジア政府自体も教育改革の必要性を認識し始めています。「先生の質を向上させないと全国に広まらない」ということを教育大臣が盛んに言い始めています。5年前に大久保会長が言っていたことです。カンボジアの人たちがシーセフが敷いたレールのを認識し始めていると言えると思います。
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